最近何かと話題の「ゲスの極み乙女。」というバンド
皆様もどこかでこのバンド名を耳にしたことがあるのではないかと思います。
いろんなメディアで取り上げられているので、その奇抜なバンド名や音楽以外の話題が先行している印象もあるのですが…
一体どんなアーティストなんだろう?
肝心の音楽はどんな内容なんだろう?
ということでギタリストである筆者が、フロントマン・ボーカルギターの川谷絵音にスポットを当てて様々な角度、特に音楽的な視点から検証してみようと思います。
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コンポーザー・ギタリスト 川谷 絵音
ゲスの極み乙女。の楽曲の作詞・作曲を川谷さんが全て手がけていることから彼がバンドの中心人物であることがうかがえます。
言葉の選び方・センスもかなり秀逸ですよね。
まず筆者がおもしろいなと思ったのは
「両成敗」
「心歌舞く」
等 「和」の要素が含まれている単語を選んでいるなという所
ニューアルバムの楽曲のタイトルを全て見てみるとアルファベットもそこまで使われておらず日本語にこだわっているような印象を受けます(カタカナも多用していますしね)
MVでも歌舞伎の舞台でバンドが演奏していたり、戦国時代の旗指物に楽曲のタイトルがプリントされていたりと斬新なサウンドとのギャップがまたいっそう面白みを加えているポイントなのではないでしょうか
また
「ロマンスがありあまる」
「勤めるリアル」
「無垢な季節」
のように
普段の会話では使われないような
「言葉の組み合わせ」
「言葉の響き」
が、川谷さんの持っている独特の世界観をより前面に押し出しているような印象を受けます。
椎名林檎さんも日本語を上手に組み合わせて印象的な歌詞を書いていますが川谷さんも彼女に負けず劣らず日本語をとても上手に操って独特の「ゲス川谷ワールド」を作り上げていますよね。
「言葉のチョイス」という所で彼の才能を感じずにはいられません。
こういったセンスはアーティスト特有のものですよね!
続いてギタリストとしての川谷さんのスポットを当てて行きたいと思います。
ライブの映像などを見ているとギターだけではなく、彼の歌っているその傍らには何とシンセサイザーが置いてあるじゃありませんか!
筆者もギターを弾くのでギター弾きながら歌うということがとても高度なテクニックを要することがよく分かるのですが…
それに加えて曲の途中でシンセサイザーに手を伸ばして間奏のソロを弾いていたりするんですからこりゃ凄いなと思いました。
才能のあるミュージシャンはどんな楽器をやらせてもすぐに弾きこなせるし、他の人が思いつかないような独特で個性的なフレーズを連発したりします。
川谷さんはその典型だなと思います。
ギターのサウンド・フレーズを聴いていても
ロックの要素がつまったリフで曲が始まったかと思えば
ファンキーなR&Bテイストのカッティングで曲に彩りを加えて
そしてギターソロではブルージーなフレーズも使っているのに古臭さを感じさせない、トリッキーで独特なプレイを見せてくれます。
良い意味で型にはまっていない所が彼のギタリストとしての素晴らしい所だと言えるでしょう。
「ジャンルなんて関係ないぜ」と言わんばかりだけれど、色んな音楽の要素を消化した川谷ワールドが全開!なので、耳の肥えたリスナーでもかなり聴きごたえがあるでしょう。
使用機材・ニューアルバム「両成敗」のサウンドメイキング
さて、続いては非凡な才能の持ち主である川谷さんの使用しているギター・機材について解説していきましょう。
MVやライブの映像をみていると、ビザール系のギターを複数所有しているようですが、どうも最近は
Fano Guitarsというアメリカのハンドメイドブランド
のギターを使用している頻度が高いようですね。
FenderやGibsonといったような定番のメーカーではなく、どちらかと言うと「マニアックだけれど、通なミュージシャンが好むブランド」という所だと思います。
こういう所にアーティストのこだわりや気合いを感じますよね!
定番のブランドの楽器を使用すれば安定して万人受けする「合格点の音」が出せるというメリットがあるのですが、逆に言うと「ありきたりな音」になってしまうという可能性も秘めているのです。
その点、マイナーなハンドメイドブランドだと、当たり外れはあるにしろ「他にはない音」が出せるし、少量生産なので楽器自体のつくりがとても丁寧でしっかりしているという特徴があります。
「少しでも他の人と違う音・質の高いサウンドを」
という川谷さんの強い気持ちが、使用しているギターから感じられるようです!!
あまり他のミュージシャンが使っているのを見たことがありませんし新しいブランドなので本人ももしかしたらその辺りが気に入って使っているのかもしれませんね。
ニューアルバム「両成敗」のギターサウンドを聴いているとあまり「歪んだ音」は使っておらず、どちらかというとクリーン系の音が多いように思います。
芯のあるキチンとした音で録音されているので
ギターも相当品質の高い物使っているんだろうな、という印象を受けます(羨ましいな…)
レコーディングする際はそれはそれはいろんな要素が関わってくるものなんですけれど(エンジニア、スタジオ、録音機材等…)
結局、良いギターを使っていないといい音では録音できないですからね。
ミックスに関して言えばギターが前面に出過ぎて主張しすぎる訳ではなく、他のメンバーとのバランスも考えられたミックスになっているのでパッと聴いた時にあのインパクトのあるバンドメンバー全員の演奏する姿が目に浮かぶようです。
音に色はないけれど「ゲスの極み乙女。」カラー満載だな!と
話がそれますが、川谷さん自身「ホワイトストライプス」というバンドに影響を受けているようだしカラーコンセプトも何かしら意識しているのかもしれません。
使っているギターも赤とか黒とか白が多いみたいだし、衣装を見ても奇抜なカラーの衣装がより彼らの世界観を強く印象付けていると思います。
アルバム全体の音作りに関して言えば
「売り出し中の人気バンド」と言った所でしょうか。
バンドの独特な個性はそのままに、たくさんの人の耳に届くようにとてもポップな仕上がりになっているような印象を受けます。
マニアックな音楽性のバンドは、音をミックスする際にどうしてもこだわりが強くなってしまうので一般ウケしない方向に行きがちなんですが…
例えば
・全体的にギターの音だけ突出して大きすぎる
・ボーカルにエフェクターかけまくって、もともとどんな声だったのか分からなくなってしまっている
・メタリカみたいにバンド内の力関係がそのまま音のバランスに現れてドラムでか過ぎだったりとか…)
ありがちですよね…
バンドの音楽生を引き立たせつつ、ポップミュージックのカテゴリの中でどれだけ勝負ができるのか?
という視点でとても洗練された音作り・ミックスになっているなと思います。
バンドが注目されている中、よりたくさんの人の心に届くように…
バンドメンバーやエンジニア、スタッフの心遣いがひしひしと感じられるミックスになっておりますな!
まとめ
筆者は今までゲスの極み乙女の音楽を聴いたことがなかったので先入観無くレポートが出来たのではないかと思っています。
近所のスーパーで初めて曲を聴いた時に
「何だ!このバンド、面白いな」と思ったのが第一印象でした。
その後インターネット等で調べたら「何だこのバンド名は!?」
と思ったのを覚えています。
インパクトの連鎖ですね!
似たり寄ったりの音楽が多い昨今、これだけの衝撃を与えてくれるアーティストってそんなにいないと思うんです。
川谷 絵音さんというアーティストはゲスの乙女極み。を通して
一過性の物ではなく、ずっと語り継がれる素晴らしい作品
を作り出せるような才能があるように思えてなりません。こういったバンドがシーンに出てくるってことは音楽業界においては重要なことだと思います。
これからも独自の「ゲスワールド」を極みに極めていってほしいですね!
コポゥ!!